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猫の血液型

猫の血液型では、AB式が一般的です。A型、B型、AB型の3型があります。
日本在来種はA型が圧倒的に多く、洋猫ではB型もチラホラ、AB型はマレなようです。
ブリティッシュショートヘア、デボンレックスでは4割がB型、スコティッシュフォールドもそれらには及ばないもののB型が多い猫種です。
A型仔猫が、B型母猫の母乳を飲むと、B型猫ちゃんの強いA型拒否のために、仔猫の血液が壊れて溶血性黄疸を起こし、亡くなってしまうこともあるのです。
こういった状況は、B型母猫×A型父猫の組み合わせを避けることで防げますし、万が一、B型母猫がA型仔猫を出産したら、すぐに母猫から放して、人工哺乳、育仔をし、トラブルを回避しなければなりません。

ネコの毛色 ソリッド

ネコの毛色は実にバラエティに富んでいますが、本来ネコにはブラックとオレンジの二種類しかありません。
というのも、どんな毛色でもさかのぼれば、ブラック遺伝子かオレンジ遺伝子に辿り着くからです。
ホワイトは、色素のない状態なので例外です。
ブラック遺伝子が変異したものが、チョコレート、シナモン。
毛色を薄くするダイリュート遺伝子が存在すると、
ブラックはブルー、チョコレートはライラック、シナモンはフォーン、オレンジはクリームになります。
ソリッド(単色)とは、毛に模様がなく全身一色の毛色、基本的には毛の一本一本も根元から毛先まで色の濃淡は無し。
毛色がソリッド(単色)になるには毛に色帯をつけることを防ぐノン・アグーティ遺伝子が必要で、これはブラックにのみ有効で、オレンジに対しては効果がありません。
故に、オレンジのネコは一見ソリッドに見えても実はみんなタビー(縞模様)なのです。
Rooneyをキャットショーに出陳するときは、ネコ種はブリティッシュショートヘア、カラーはクリーム、ディビジョンはソリッドとエントリーするのですが、遺伝学上はタビーということなのです。
クリーム単色の仔猫を飼い始めて、去勢避妊後に縞模様が出てきたというのはたまに聞く話です。
Rooneyの生後三か月のワクチン接種の際、担当獣医さんに大人になったら縞模様が出るかもと言われてから数日は、Rooneyが一晩でアメショーのようなクラシックタビーになっている夢を見たものです。
幸いというか、仔猫のまま、血統書の記載通りのクリーム単色に成長しましたが、クラシックタビーのRooneyも見てみたかった気がします。

ネコの毛色 トーティー

オレンジとブラックがまだらにちりばめられた毛色。これにタビーが加わるとトービーになります。白が入るとトーティー&ホワイト、いわゆる三毛になります。
うちにいるネコの中でMaria、Xeniaがトーティー。巣立っていったUsherette、Sereneもそうなります。
Maria、Usherette、Sereneはブルー・トーティー、Xeniaはライラック・トーティー。
なぜ、トーティーはメスだけなのか?
オレンジ遺伝子はX染色体にしか存在しません。オレンジ遺伝子O、ノンオレンジ遺伝子oとすると、Oが一つあればオレンジ色になり、Oが二つあるとオレンジ色になるだけでなくブラックの発現を抑える働きをするそうです。
メスX(O)X(o)は、トーティー。メスX(O)X(O)は、オレンジ。メスX(o)X(o)は、ブラック。
大文字Oのみが存在する場合、ブラックの発現を抑え込むので、
オスX(O)Yは、オレンジ。オスX(o)Yは、ブラック。
このようにオスはX染色体を一つしか持たないので、ブラックとオレンジの毛色を同時に発現させることはできず、トーティーはメスのみとなるのです。
俗にトーティーのネコは頭がいいと言われますが、そもそもメスしか存在しないのですからメスならではの賢さがあるからかもしれません。

猫の血統書

仔猫販売サイトなどで、仔猫を探している人たちの詳細な要望に、血統書の発行を希望しているのをたまに見かけます。
しかし、ブリーディングをしている立場から言わせれば、繁殖を目的とする人間以外の人にはあまり必要のないものではないかと感じます。
血統書にこだわるのは何か大きな勘違いがあるのではないでしょうか。
昔から、「うちの子は血統書付きだから」「何々さんのところは、血統書付きだから」などという会話を多くの人が耳にしたことがあると思います。
実際、私もそういう会話を耳にしたことがあります。
猫の血統書は宝石の鑑定書・商品の保証書のようなものではなく、人間でいうところの戸籍謄本みたいなものなのです。
もちろん生まれてきた仔猫はTICAに登録もしますし、血統書も発行します。うちで生まれた仔猫が戸籍のない子になってしまいますから。
少し手違いがあったりシステムの変更があったりすると、登録作業がなかなかうまくいかず時間がかかってしまうのです。アメリカ人とつたない英語でメールのやりとりだけで解決しなければならないから。
あと、血統書のコピー不可という要望もみたことがあるのですが、そもそもRDFで送られてくるしプリントした時点でコピーみたいなもんでしょ。
TICA本部でプリントしてラミネートしたものを送ってきたこともあったけど、アメリカ人のやることだからそれが通常通りの作業なのか、たまたまなのかもわかりません。